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歯を失った際の治療法として、従来の入れ歯やブリッジに次いで注目を集めるのが「インプラント」です。
天然歯に近い仕上がりで利便性・審美性にも優れるインプラントですが、外科手術が必要であるため、痛みが気になる方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、インプラント治療に伴う痛みの程度やタイミング、痛みの軽減法について解説します。
インプラント治療を検討中の方、手術による痛みについて不安を抱える方は、ぜひ参考にしてみてください。
外科手術を行うインプラント治療では、多少なりとも痛みが生じる可能性があります。
では、治療のどのタイミングでどのくらいの期間、痛みが出やすいのかを確認していきましょう。
インプラントの手術を始める前には、必ず局所麻酔を投与します。
注射の針を歯茎に刺したり、麻酔薬を投与したりする際に、多少の痛みを伴うかもしれません。
心配な方は表面麻酔薬を歯茎に塗ったり、細い注射針を使用したり、麻酔薬を人肌に温めたりと、痛みを和らげる対処法もあるため、事前にご相談することをおすすめします。
インプラントの手術中は、インプラントを埋め込む部分の歯茎に局所麻酔を効かせるため、痛みを伴うことは基本的にありません。
麻酔の効き方には個人差があるため、様子を見ながら適宜追加投与する場合もあります。
ただし、局所麻酔で術部の痛みは抑えられるものの、骨を削る振動を感じたり、器具の音や術中の会話が聞こえたりします。
歯科治療に苦手意識をお持ちの方や、不安や緊張に襲われやすい方には、静脈内鎮静法が効果的です。
静脈内鎮静法とは、静脈に安定剤を投与することによって、全身麻酔に近い状態にできる麻酔方法の一つです。
意識はあるものの半分眠っているようなウトウトした状態で、リラックスして手術を受けていただけます。
インプラントの手術は入院する必要がなく、30分〜1時間30分程度で完了し、そのままご帰宅可能です。
主な手術直後の痛みとして、外科手術の痛み・骨造成の痛み・抜糸時の痛みが挙げられます。
インプラントを埋め込む外科手術後は、麻酔が切れてから2〜3日程度は痛みが続くかもしれません。
通常、痛み止め薬や抗生物質を処方されるため、薬が効いて数日以内に痛みは収まるでしょう。
インプラントを埋め込む顎の骨の量が足りない場合、骨の高さや厚みをもたらすための骨造成も合わせて行います。
サイナスリフト・ソケットリフト・GBR法(骨誘導再生法)などの術法があります。
骨造成を行うと通常のインプラント手術よりも手術範囲が広くなるため、腫れを伴う痛みが出やすいです。
術後3〜4日程度から症状が現れ、10日前後続く可能性があります。
外科手術から7〜10日程度経つと、歯茎を縫合した糸を取り除きます。
抜糸の際にはチクチクとした違和感や痛みを感じるかもしれません。
心配な方は抜糸時にも麻酔することが可能なので、医師に相談してみましょう
外科手術で埋め込んだインプラントが顎の骨にしっかりと結合するまでは、数ヶ月間かかります。
それ自体に痛みはないものの、歯に余計な負担がかかったり、患部に強い衝撃が加わったりすることで痛みが生じるかもしれません。
インプラント治療完了後に痛みが出る場合、インプラント周辺の炎症やパーツの緩み、噛み合わせのズレなど様々な原因が考えられます。
少しでも違和感を抱いたら放置せず、すぐに担当の歯科へ問い合わせましょう。
インプラント治療が初めての方は、どの程度の痛みが伴うのか全く予想がつかないと思われます。
ここでは、虫歯治療や親知らずの抜糸の痛みと比較してみましょう。
歯の神経付近まで虫歯が進行している場合、ズキズキといったかなりの痛みを伴います。
歯を削る虫歯治療では、歯の神経まで麻酔を効かせなくてはなりません。
歯は密な組織であるため、内部までしっかり麻酔を効かせるのが少々大変です。
一方で、インプラント治療は骨に麻酔を効かせて行います。
骨にも神経はあるものの、粗い組織であるため麻酔が効きやすいです。
インプラント治療では、手術中に痛みが出るケースは少ないと考えてよいでしょう。
親知らずは生え方や位置によって、麻酔が効きにくかったり、抜歯に時間がかかったりする可能性があります。
歯茎・骨に埋まっている歯を抜くため、痛みや腫れが1週間程度続くケースも多いです。
一方で、インプラント治療の麻酔は比較的効きやすく、1本あたりの埋入時間は15〜20分程度です。
骨造成をしないインプラント治療であれば、親知らずの抜歯よりも小規模で、痛みや腫れも抑えられます。
インプラント治療をする時は、少しでも痛みを減らしたいものです。
以下で、痛みを最小限に抑える方法をご紹介します。
インプラントを埋め込んだ患部は繊細な状態です。
抜歯するまでの期間は、縫合部が開いてしまわないように、物が当たらないよう注意しましょう。
しばらくは患部を避けて、歯磨き粉を使わずに優しく歯を磨いてください。
喫煙は血流を低下させ、全身の細胞に新鮮な酸素と栄養素を届けにくくさせます。
その結果、交感神経が活発になり血圧や脈拍が上昇します。
血行不良は治癒の妨げとなるため、術後の喫煙はできる限り控えましょう。
香辛料を使った食べ物や炭酸飲料など、刺激物は痛みを強く感じさせる可能性があります。
また、硬い食べ物を無理矢理噛もうとすると、インプラント部分を傷つけたり、炎症を悪化させたりする恐れがあるため、注意が必要です。
術後は刺激物を避け、柔らかい食べ物を中心とした食事が推奨されます。
通常、飲酒や入浴をすると血行が良くなります。
患部の血の巡りが良くなると、縫合部から出血したり、ズキズキと痛みが激しくなったり、腫れや炎症が悪化したりする恐れがあります。
術後2〜3日は飲酒を控え、入浴せずに適温のシャワーで済ませましょう。
運動は血行を良くさせ、疼きや痛みを感じやすくさせます。
術後1週間程度は激しい運動を避け、安静にしましょう。
心的疲労や睡眠不足も免疫力を低下させ、回復を遅らせるため、規則正しい生活が望ましいです。
患部に細菌が侵入すると、更なる炎症や病気を引き起こすリスクがあります。
口内は常に清潔に保つことを意識しましょう。
いかがでしたでしょうか。
今回はインプラント治療に伴う痛みのタイミングや程度、痛みの軽減法を解説しました。
インプラント治療では多少の痛みを伴うものの、美しい歯並びや快適なデンタルライフを手に入れられます。
痛みの軽減法を正しく理解して、安心してインプラント治療を受けましょう。